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保育士の社会的地位を上げるには?給料が安いのもステータスが低いことが原因に

保育士の社会的地位の確立を目指すために

保育関係の仕事は、社会的地位が低いと感じる保育士さんが多いのではないでしょうか?

保育士の低賃金や悪質な労働環境についてはよくニュースにも取り上げられるのですが、そもそも社会的地位が低いことについてはあまり触れられていません

むしろ現場で働く保育士だからこそ強くそう感じるものです。

なぜそう感じるのかというと、世間が持っている保育士に対するイメージと関係しているからです。

この世間が持つ保育士のイメージが変わると社会的地位も上がり、これからの保育士の働き方も変化していくはずです。

ここではそもそも世間が保育士という仕事に、どのようなイメージを持っているのかについて解説していきます。

 

世間が思っている保育士のイメージ

保育士の仕事の社会的地位が低い理由は、「子育ての延長」という認識が強いからです。

そもそも日本では母親が子育てをするという認識が強い国です。

日本で保育施設が最初にできたのは1876年の明治時代でした。

1860〜1880年代は女性解放運動が活発になり、女性から離婚ができるようになったり女学校が設立されるようになった年です。

しかしこの時代、以前は武家や公家にあった男系重視の家族制度が庶民にも適応されます。

そのため、本格的に保育施設が広まったのは、男系重視の家族制度が廃止された戦後のことです。

 

ただ家族制度の名残りもあって、終戦から75年以上経っている現在でも「保育=子育ての延長」と考える人がいまだに多いのが現状です。

とはいえ近年は共働きが増えてきており、子育ては「必ずしも母親だけがするものではない」と考えられるようになってきました。

現在では待機児童が増えるほど保育園の需要は高まってきています

このように、「これから子育てをする世代」と「すでに子育てが終わった世代」の、保育に関する考え方にジェネレーションギャップがあるところが、社会的地位の低さを感じさせている理由の一つにもなっているようです。

 

「底辺職」と言われることもある

保育に対する認識は変わってきているのですが、それでもまだまだ社会的地位は低いままです。

それに社会的地位が低いどころか底辺職といわれることもあるのです。

なぜ底辺職といわれてしまうのでしょうか?

世間の持つイメージや、底辺職と言われてしまうその理由をまとめました。

  • 賃金が安い
  • 勤務時間が長い(残業が多い)
  • 肉体・精神的に辛い
  • 資格が簡単に取れる

保育士はハードな仕事であるにも関わらず、賃金が安いところが底辺職と言われている理由の一つです。

これから保育士を目指す学生さんは、先生から「給料が安くて生活ができないから辞めなさい」といわれることもあるそうです。

 

「資格が簡単に取れる」という点は世間の勝手なイメージです。

実際はそんなことはありませんよね。

ですが、「他の国家試験に比べ、特別な勉強をしなくても誰にでも取ることができる」と思い込んでいる人が多いようです。

 

このようなマイナスイメージが底辺職といわれる原因になっており、社会的地位を下げているのです。

保育園から異業種に転職すると、「保育士というだけで社会に出たことがない(常識がない)人と同じ扱いを受ける」という声もあります。

この一言でも保育士の社会的地位がいかに低く、底辺職だと思われているのか分かりますよね。

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保育=女性の仕事という認識がある

保育士さんには女性と男性がいますが、世間では「保育=女性の仕事」という認識が強いのが現状です。

実際に2018年の統計調査では、女性保育士は約21万人に対して男性保育士はたったの約1万人

かなり男性保育士が少ない事がわかりますよね。

保育園の労働環境も女性優位なところが多く、男性の更衣室が用意されていないところもあって働きにくい状況です。

 

社会的地位が低く、さらには男性が働くには労働環境が悪いことから離職率が高いといわれています。

給与面に関しては女性に比べて男性の方が平均月収は多いのですが、女性側からするとなぜ男性の方が給料が多いのかという不満を感じる方も多いようです。

とはいえ男性でも平均給与額は26万円なので、他の企業に比べると低い水準です。

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社会的地位を上げることに成功したスウェーデン

日本の保育士の社会的地位がとても低いことが分かりましたね。

世代によっては「保育士の仕事=子守」という認識が強く、これが社会的地位を下げる原因にもなっています。

 

実は日本に限らず、世界でも保育士の社会的地位は他の仕事に比べて低いといわれています。

しかし中には保育士の社会的地位を上げることに成功した国があります。

それがスウェーデンです。

スウェーデンといえば、社会福祉の先進国です。

日本の認定こども園もスウェーデンのシステムがモデルとなっています。

ここでは、そんなスウェーデンがどのようにして保育士の社会的地位をあげたのか、解説していきます。

 

保育園を学校にして国が管轄

スウェーデンは保育園を就学前学校として、国(教育庁)が管轄する教育機関にしました。

つまりスウェーデンの保育園で働く保育士は、学校の先生という位置づけになったのです。

スウェーデンでは日本よりも女性の社会進出が進んでいる国でもあります。

しかし以前のシステムでは、日本と同様に社会的地位が低くて保育士不足が問題になっていました。

そこで学校として扱うことで、社会的地位のステータスを引き上げることに成功したのです。

 

給料アップで社会的地位を上げた

社会的地位を上げるための給料アップは日本も取り組んでいるのですが、日本の場合はキャリアアップによる昇給がメインです。

しかしスウェーデンは保育園を学校と位置づけ、それにともなって給料の水準を大幅にアップさせました。

またスウェーデンでは高校卒業で取れる資格と、大学卒業で取れる資格があります。

大学卒業で取れる資格のティーチャーに関しては、昔はとても給料が低かったため圧倒的に人が足りていませんでした。

そこで水準を35〜40万円に引き上げて、一般企業よりも高い給与額を設定しました。

次に高校卒業で取れる資格も、25〜32万円と一般企業と同じレベルに上げました。

 

また、スウェーデンの保育園では長時間保育はほぼ必要とされていません。

なぜなら、「幼い頃から長時間子どもを親の側から離すのはよくない」と考えられているからです。

そのため、幼児がいる親は短時間勤務が法律で認められています

だからこそ、保育士の労働環境や負担が軽減されているのです。

このようにして給与問題を解決したことで、社会的地位が上がり、人手不足の解消に至ったのです。

日本の場合も社会的地位を上げるために動いていますが、そもそもスウェーデンとはシステムが違うことが分かりますよね。

 

ニーズに合わせたカリキュラム

スウェーデンの保育園は国の管轄ですが、教育のカリキュラムは自治体や園側に任せています。

そのため、保護者は子どもや自分のライフスタイルに合った保育園を選ぶ事ができるのです。

子どもも自由度の高い環境の中で過ごすことができます。

さらに女性の社会進出が進んでいるにも関わらず待機児童がほとんどいません

なぜなら入園の申込みがあった場合、必ずその子どもの席を用意しなければならないと義務付けられているからです。

このように義務付けられるのは、社会的地位を上げたことで保育士不足問題を解決することができたからです。

スウェーデンは保育士の社会的地位を確立したことで、保護者側もライフスタイルを充実できる環境になったのです。

 

保育士の質の向上をサポート

社会的地位を上げるためには、保育士の質の向上も必須となります。

スウェーデンでは質の向上のために、学費やそれに必要な勉強道具は全て国が負担してくれます。

さらには様々な研修を国がサポートしています。

保育士がきちんと学べる環境を国が整えることで、質を向上させているのです。

 

また保育の質も他の国に比べて良いといわれています。

すでに保育士をしっかりと確保出来ているスウェーデンでは、チーム保育制を取っています。

例えば1歳〜3歳までは、6人〜12人の子どもに2〜3人の保育士がつきます。

対して日本では1歳〜2歳の子ども6人に保育士が1人です。

日本と比べても子どもの人数に対して保育士の数が多く、必ずチームで動きます。

それに加え、日本のようにキャリアが重視されることがないので、チーム内ではベテランが仕切るのではなく皆で話し合いながらカリキュラムを組んでいきます

このようにスウェーデンの保育園では保育士の人数だけでなく、互いが同じ目線で協力し合える環境が保育の質を上げているのです。

 

社会的地位が上がるように国も対策を打っている

近年では日本でも待機児童が激増したことで、国が保育士確保のために社会的地位を上げる政策を行っています。

日本では主に連続勤務年数を重ねるごとに昇給したり、役職を増やすことでキャリアアップしやすい環境を整えています。

こうして社会的地位を上げて離職率を下げようとしているのです。

しかしこの政策には課題が多く、保育士からの反感もあります。

スウェーデンでは国が管理しているので給料の水準が保たれていますが、日本の場合は地域によって給料の差が開いているところも問題点です。

とはいえスウェーデンのように国の管轄にして、全ての給料の水準を上げるには増税が必要になります。

ちなみにスウェーデンの消費税は25%と、日本よりもかなり高い税を支払っています。

だからこそここまで社会福祉に力を入れる事ができているのです。

しかし日本では、増税となるだけで悪いイメージを持たれてしまい、なかなか国民の賛同を得られない状況です。

国の予算の一部は他国からの借金で補っている状況でもあります。

保育士の社会的地位を上げるためには、まずは国民の意識改革も必要かもしれません。

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