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保育士の給料を政府はいつ引き上げるの?待遇が悪い理由とこれからの政策について

【保育士の給料】政府はどんな対策をしているの?

保育士の給料問題については、度々ニュースやSNSでも話題になりますよね。

これだけ話題になっているのに、なぜいまだに改善されないのでしょうか?

お給料で悩む保育士さんの中には「政府はちゃんと動いてくれているの?」と不安になる方もいるのではないでしょうか。

でも実は政府による待機児童対策の一貫で、保育士の人材確保のために処遇改善が行われているんです

求人情報の給与の欄を見ると、「基本給」の他に「処遇改善手当」や「地域手当」などが書かれているのを見たことがありませんか?

この「処遇改善手当」は政府による手当で、「地域手当」は自治体独自の手当です。

「地域手当」も、政府が待機児童対策のために自治体に用意した資金から出ています。

 

このように、政府は保育士の給料改善のために対策をしているのです!

「良かった!ちゃんと対策をしてくれている!」とホッとしますよね。

これからの政府の動向にも期待したいところです。

 

今回は、保育士の給料改善に関する政府の取り組みをご紹介。

これまでに政府はどのような対策を行ってきたのでしょうか?

これまでの政府の取り組みは大まかに分けて三つあるので、詳しく見ていきましょう◎

 

全保育士の給料の底上げ

政府はこれまでに数%ずつ全保育士を対象に、給料の底上げを行っています。

その結果、2013年から現在まで民間で働く保育士の給料が約14%改善されていることが報告されています。

14%といわれてもピンとこないかもしれませんが、月額約4万5000円アップしているといわれています。

本当に給料上がってるのか、保育士さんは実感ないかもしれません。

そこで、政府による取り組みが行われる前の2012年と2019年の保育士の給料を比べてみましょう!

2012年と2019年の平均給料比較
  2012年 2019年
男性保育士 231,200円 263,900円
女性保育士 213,300円 243,500円
保育士全体 214,200円 244,500円

こうして比べてみると、給料が約3万円アップしている事が分かりますよね!

政府による給料の底上げは数%ずつ行われているので、実感しにくいかもしれません。

でも、しっかりと保育士の給料は政府の取り組みによって上がってきているんです。

 

役職を増やしてスキルアップ

保育士の給料の低さは、基本給だけが問題ではありませんでした。

長年働いても昇給・昇進しにくいところが、保育士全体の給料の低さに繋がっていました。

例えば一般企業では、一般社員の他に主任、係長、課長、次長、部長、本部長などがおり、さらにその上には取締役員がいます。

たくさんの役職があるので、業績によって昇給・昇進しやすいですよね。

 

一方で保育士の場合、役職は主任園長しかありませんでした。

そのため長年働いているベテランさんでも、なかなか昇給・昇進しにくい環境だったのです。

そこで政府は、保育士がスキルアップ・キャリアアップを目指しやすいように役職を増やしました

これが「処遇改善等手当Ⅱ」と呼ばれている政策です。

保育士の役職は、園長と主任の他に以下の三つが新しくできました。

新しくできた役職

  • 副主任保育士(ライン職)・・・月額最大4万円の処遇改善
  • 専門リーダー(スタッフ職)・・・月額最大4万円の処遇改善
  • 職務分別リーダー・・・月額5千円以上の処遇改善

役職名は施設によって異なります。

職務分別リーダーは経験年数概ね3年以上あれば対象になるので、若手の保育士でも役職を目指しやすくなります

副主任保育士専門リーダーは、経験年数が概ね7年以上のベテランが就くことができます。

これらの役職に就くためには、以下のキャリアアップ研修をそれぞれ必要なだけ受けなければなりません。

キャリアアップ研修内容

  • 乳児保育
  • 幼児教育
  • 障害児保育
  • 食育・アレルギー
  • 保健衛生・安全対策
  • 保護者支援・子育て支援
  • 保育実践
  • マネジメント

もちろん自分で勝手に研修を受けることができるわけではなく、施設側がその実力を認めていなければなりません。

このような政府の取り組みもあって、ベテラン保育士や実力のある若い保育士がスキルアップやキャリアアップしやすいようになりました。

役職が増えれば、それだけ新人に指導できる保育士が増えるので、質の高い保育にもつながりますよね!

 

平均経験年数に応じて給料改善

政府は施設に勤務する保育士の平均経験年数に応じて、加算額を支給しています。

これは「処遇改善等加算Ⅰ」といわれている政策で、全保育士対象なんですよ◎

保育園に勤務する保育士の平均経験数が0年の場合は2%加算され、それから1年上がるごとに1%ずつ加算されていきます。

そして最大12%アップするのです。
(平均経験年数10年は12%)

これが基礎分になります。

 

さらに賃金改善要件分(賃金・労働環境の改善や研修などを行っている)を満たすことで、一律6%加算されるんです!
(平均経験年数11年以上の施設は7%)

もし基礎分と賃金改善要件分が適応された場合、平均経験年数0年でも8%加算され、平均経験年数が11年以上であれば19%加算されるということになります。

つまりこの政府の取り組みは、離職率が低く、積極的に賃金改善や研修などを行っている施設ほど給料改善される仕組みになっているのです!

 

保育士処遇改善の問題点が明らかに

2013年以降、政府は保育士の処遇改善を積極的に行ってきました。

しかし、保育士のほとんどは「そんなにアップしてる??」って思うかもしれません。

確かに2012年に比べると現在の平均給料は上がっていますよね。

でも、現状では24万円ももらえていないという保育士が多いんです!

なんと保育士7年目で手取り12万円という人も中にはいます。

関連記事

保育士7年目でも給料が上がらない!〜手取り12万円の現状に処遇改善を求める声〜

記事はこちら

 

さらに最近では、衆議院予算委員会で政府が想定していた金額よりも、保育士の給料が大幅に下回っていることも明らかになりました。

例えば東京の認可の保育園の場合、公定価格で定められた給料だけでも年間約443万円支給されていることがわかっています。

これに処遇改善が最大でついた場合、約565万円になります。

 

しかし、東京の保育士の年間平均給料は約381万円

政府が想定している金額と、実際に保育士が受け取っている金額に大きな差があることが分かりますよね!

東京は公定価格が一番高く、東京都独自の助成金もあるのでこれだけもらえていますが、地方になるとさらに低い金額になります。

なぜここまで政府が保育士のために給料を上げているにも関わらず、そのお金が保育士に支払われていないのでしょうか?

ここでは、政府が実施している取り組みの問題点や、給料が上がらない理由について解説していきます。

 

保育士の低賃金・長時間の労働の問題

これまでの政府の取り組みで給料は約4万円アップしており、さらに処遇改善等加算もされているはずなのに、保育士の給料は想定よりも大きく下回っていました。

政府がどんな策を練っても、低賃金の保育園が未だに多いということが分かりますよね!

 

さらに給料が低いだけではなく、長時間労働が改善されないことも問題になっています。

実際に、労働量に対して給料が見合っていないと感じている保育士さんも多いと思います。

人手不足に悩んでいる保育園では、「休憩時間を潰しても仕事が終わらない!」という嘆きの声もありました。

また、残業で終電を逃してしまい、ホテルに泊まるという保育士さんもいるようです。

このように自宅でゆっくりと休む暇もない状況で保育をすれば、保育の質も下がってしまいますよね。

せめて給料が良ければ…と思いますが、残業代さえもまともに支払わないところもあります。

このような労働環境の悪化は、保育施設の事故につながる可能性も否定できません。

 

なぜ保育士の低賃金・長時間労働は改善されないのでしょうか?

保育士の過酷な労働環境には下記のような理由があるといわれています。

低賃金・長時間労働が改善されない理由

  • 待機児童対策で保育園が乱立している
  • 低賃金で短時間労働者や保育補助者の雇用が増えている

具体的にどのような問題なのでしょうか。詳しくご紹介しましょう。

 

待機児童対策で保育園が乱立している

政府は待機児童対策のために、新たな保育施設を増やしています。

しかし、その分しっかりと保育士を確保しなければなりません。

その保育士の確保ができていない施設が多いのです!

保育施設の問題は、新しく保育業界に参入してきた企業の施設でも見られます。

政府は新しく保育施設を作る企業に多額の補助金を出しているのですが、これにより保育に知識の少ない企業が参入し、設備や人材が不足している『保育環境に問題のある施設』がたくさんできてしまったそうです。

もちろん全ての新しい保育施設がこのような問題があるわけではありませんが、政府の取り組みによって新たに起こった問題のひとつとして挙げておきましょう。

 

低賃金で短時間労働者や保育補助者の雇用が増えている

政府が給料はそのままで短時間労働者や保育補助者を増やしている点も問題の一つとなっています。

つまり、短時間労働者や保育補助者を積極的に雇用することで、正社員の保育士の労働量を軽減しようとしているのです。

さらに2021年の「新子育てプラン」では、短時間労働者でもクラス担任が持てるようになりました。

 

でも保育士としては、継続的に子供を見守ることが大切ですよね。

毎日見ているからこそ、子供の異変にも気づくことができます。

しかし短時間労働者が担当を持ってしまうと、入れ替わり立ち替わりになってしまうので、保育の質の低下が懸念されています。

また、これで正社員保育士の労働環境が改善されるからといって、給料が上がるわけではありません

特に資格のない保育補助者はできることが限られているので、根本的な解決にはなっていないという声もあります。

 

そして近年では、新しく設立された施設にベテラン保育士がいない状況が問題視されています。

新人保育士は資格を持ってはいますが、保育士としての実務経験はほとんどありません。

実際に適切な教育がされなかった保育園では、一歩間違えれば事故になっていたようなことが報告されています。(園児の午睡時に一緒に寝てしまう、むせるまで食べ物を口に詰め込むなど)

 

ベテラン保育士が少ないのは、低賃金や労働環境の問題で辞めてしまう人が多いからです。

近年では「保育士が一斉退職した」というニュースもありました。

低賃金で短時間労働者や保育補助者を増やすことは保育の質の低下にもつながるので、保育士だけでなく保護者からも反対の意見が多いんです!

親目線で考えると、安全が保障されていない施設に自分の子供は預けたくないですよね。

それよりも、政府は給料や労働環境の改善、保育士の研修や保育士の勤続年数を上げる政策にもっと力を入れた方がいいという意見もあります。

 

委託費の弾力運用で賃金が上がらない

委託費の弾力運用の問題については、参議院予算委員会でも話題になりました。

認可保育園の保育士の場合、公定価格によって人件費が定められていますよね。

子供の人数に対してどのくらい保育士を配置するのかは、政府が基準を決めています。

しかし人手が足りないところでは、それ以上に保育士を雇っているところもあります。

規定よりも保育士を多く配置してしまうと、一人分の賃金を数人で分けることになるので、保育士の給料が下がってしまうのです。

この公定価格の仕組みも問題視されているのですが、配置基準通りに保育士を雇っている施設でも、政府が想定する給料以下だったことが判明しました。

東京では処遇改善などを加えなくても年収約443万円になると認識していましたが、その水準さえ保てていなかったのです!

現役保育士にとっては「そんなにもらっていない」と分かりきったことだと思いますが、政府はやっとそのことに気づいたのです。

 

その原因の一つが、委託費の弾力運用だといわれています。

委託費の弾力運用は、委託費を同じ系列の他の施設に流用して良いというシステムです。

これにより、本来保育士に渡るはずだった人件費が他の施設に使われているのです。

例えば、新しい保育施設設立の費用にされたり、赤字運営の介護施設の運営費にされたりしているようです。

頑張って働いて、その分もらえるはずの給料を他のことに使われるのは腹立たしいですよね…!!

政府も、これまで保育士のために行ってきた取り組みがから回っていたことにやっと気づいたのではないでしょうか?

 

今後の給料に関する政府の取り組み

問題点が明らかになったところで、今後の給料に関する政府の取り組みには期待されています。

政府は2021年から「新子育てプラン」を新たに打ち出しました。

このプランは2021年から2024年の年度末までの間に、14万人の待機児童解消を目指す取り組みです。

「新子育てプラン」では、保育士の給料アップに関しては残念ながら書かれていませんでした。

「新子育てプラン」の内容は、ほとんどが保育補助者や短時間勤務の保育士、若手保育士を支援するものです。

常勤保育士の負担は軽くなるかもしれませんが、上記のように問題点が多いことが指摘されていましたよね。

それでもこれからしばらくは、「新子育てプラン」に沿って政府は処遇改善に取り組んでいくと考えられます。

 

しかし、「新子育てプラン」に給料関係の具体的な取り組みがないと、「低賃金問題はしばらく放置されるのかな…?」と不安になりますよね。

でもまだ政府の取り組みに期待できる部分もあります。

ここでは、保育士の給料改善に期待できる政府の取り組みを紹介します。

 

高所得者の児童手当廃止で資金調達

政府は2021年2月2日に、高所得者世帯(年収1200万円以上)の児童手当廃止を閣議決定しました。

これまでは高所得者に対して、一律5,000円の特例給付が支払われていました。

これに該当する子供は約61万人で、年間の約370億円の財源が浮くことになります。

政府はこの財源を、今後待機児童解消の取り組みに使用するというのです。

実際に児童手当の廃止が実施されるのは2022年10月からなので、それ以降の政府の取り組みよっては保育士の給料が改善されるかもしれません。

参議院予算委員会でも保育士の給料の低さについて話題になっているので、政府の取り組みには期待度が高まっています◎

 

通知改定による保育士の処遇改善を狙う

これまで政府は、認可保育園に支払っている人件費を通知によって分かるようにしていました。

しかし分かるのは全国平均の人件費だけなので、地域ごとの給料の水準が分からない状態だったのです。

地域でどのくらいの人件費が出ているのか明確にすることに関しては、昔から何度も訴えられてきたことで、今回やっと通知改定が行われることになりました。

つまりどういうことかというと、地域ごとに支払われている人件費額と、実際に保育士に支払われている人件費の金額を比較することができるようになるというわけです。

これまで保育士は、本来支払われるべき金額さえ不透明な状態でした。

しかし通知改定によって比べることができるようになり、保育士側が待遇面で運営に問題提起しやすくなります

また、人件費のほとんどは税金によって支払われています。

その税金を、保育士の人件費に使わず何に使っているのか、説明を求めることもできるので不正を防ぐことにも繋がります。

この政府による通知改定によって、保育士に正当な額が支払われるようになることが期待されています。

 

給料アップのために自分でも行動しよう

給料アップに関して、今後政府の取り組みにも期待できますが、これには数年かかる可能性もあります。

今すぐに給料を上げたいという方は、自分から行動することも大切です。

まずは運営側に給料の改善を求めましょう

ただ、それでも運営側が要求に応じないことは多いです。

実際にニュースで目にしたことがあると思うのですが、外部機関に相談した上で運営に訴えても無視され、最終的に一斉退職に踏み切ったところもあります。

一斉退職について保護者からは批判の声が多かったのですが、「年度末まで待てないほど酷い状況だったんだな…」と同業者からは同情の声もありました。

 

保育士は年度末で辞める人が多いのですが、あまりにも労働環境や賃金が悪い場合は思い切って辞めても大丈夫です。

保育士は有効求人倍率が高いので、就職できないという心配はほとんどありません。

転職する時に「なぜこのタイミングに?」と聞かれるかもしれませんが、その時は給料には触れず、「労働環境が悪いことを訴えたが受け入れてもらえず、質の良い保育ができないことが不安だった」ということを伝えるといいでしょう。


ぜひ給料アップのために自分からも行動してみてください!

 

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