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保育士の囲い込みが給料にも影響する?国の政策には疑問の声も

保育士の囲い込みが進む理由とは?

近年政府の政策で、保育士の囲い込みが進んでいます。

実際に保育士の有効求人倍率は年々高くなっており、保育士の離職を防ぐために国が囲い込みをするかのような政策を次々と打ち出しています。

さらに現役保育士へ向けた制度だけでなく、これから保育士を目指す人の囲い込みをする制度もあります。

 

また、囲い込みを進めているのは政府だけでなく園などの施設の運営側も同じです。

辞める旨を告げたところ、引き止められてすぐに転職できなかったという声もあります。

転職を考えたことがある方は共感するところがあるのではないでしょうか?

なぜ、ここまで保育士の囲い込みをしなければならない状況になっているのでしょうか?

ここでは、保育士の囲い込みが行われている大きな理由を二つ紹介します。

 

待機児童解消のための保育士人材確保

政府や施設の運営が保育士の囲い込みを進めている大きな理由は、人手不足だからです。

女性の社会進出が進む中、近年では待機児童が問題視されるようになりました。

そこで政府は待機児童問題を解決するために施設を増やし、人材確保のために囲い込みの政策を始めたのです。

※囲い込みを進めるための詳しい政策は後ほど詳しく説明しています。

昔は母親が子どもの面倒を見るというのが常識的でしたが、現在ではその常識も変わってきています。

そのライフスタイルの変動に追いつく事ができず、保育環境が整っていない状況なのです。

そのため、対策が始まった2013年から保育士の囲い込みが進むようになりました。

 

保育士の社会的地位を上げるため

保育士の囲い込みをする理由は社会的地位も関係しています。

先程も簡単に触れましたが、昔と今のライフスタイルは変わってきています。

しかし、現代でもまだ保育士は低い立場にいるのが現状です。

なぜならこれまでは母親が子どもの面倒を見るのが一般的だったからです。

そのため、「誰にでもできるような仕事」「必要性の低い仕事」と認識されていました。

これが社会的地位が低い原因です。

現在は共働きの家庭が増えたことで、子を持つ親には必要性の高い施設になってきています

さらに近年では共働きでなくとも、子育ての支援が必要な家庭が増えてきているといわれています。

その理由は、児童虐待が浮き彫りになってきたからです。

実は専業主婦の方が共働きの母親よりも子育ての負担を感じているといわれています。

これは核家族が増えて祖父母からの支援を受けられなくなっており、母親1人の負担が大きくなってしまっているからです。

その負担を減らすために、共働きでない家庭でも一時預かり保育などの需要が高まってきています。

保護者の負担を減らし、虐待を防ぐためにも保育施設はとても重要なのです。

 

しかしまだ世間の保育士への認識は低いままです。

特にすでに子どもが自立した世代と、現在育児をしている世代ではジェネレーションギャップがあるといわれています。

また社会的地位が低いと保育士を目指す人の数が減ってしまい、待機児童問題にもさらなる影響が出てしまいます。

そこで政府は保育士の社会的地位を上げるために給料を引き上げ、辞めないように囲い込みをしているのです。

 

人材の囲い込みを進めるための政策

政府による囲い込みの政策とは具体的にどのような政策なのか、保育士なら知っておきたいですよね。

またこの囲い込みによって本当に保育士の人材確保はできているのでしょうか?

そこでまずは統計方法が現在とほぼ同じデータの中で一番古い2002年、待機児童問題の政策が開始された2013年、そして最新の2019年のデータを比べてみましょう。

保育士の人数比較
2002年 2013年 2019年
301,264人 372,604人 400,738人

ちなみに保育士という名前ができた年の1999年のデータもありましたが、保育士と児童生活支援員を合わせた統計(279,450人)しかありませんでした。

このように推移を見ると、2002年から2019年にかけて約9万人も増加している事が分かりますね。

政策が始まった2013年と比べると約3万人増加しています。

劇的に増えたわけではありませんが、多様な職業が増える中着実に人材確保ができている事が分かります。

では具体的にどんな囲い込みの取り組みが行われているのでしょうか?

 

給料アップで囲い込み

冒頭でも少し触れましたが、囲い込みをするために保育士の給料は少しずつ引き上げられています。

ではどの程度給料が引き上げられたのか、2013年と2019年のデータを比較してみましょう。

保育士の平均給料
年代 2013年 2019年
225,400円 263,900円
212,600円 243,500円
男女計 213,200円 244,500円

政策が始まった2013年の平均給料は約21万円でした。

特に2013年は男性の給料の水準が下がっている年でもあります。

それが2019年には、全体的に約3万円アップ!

 

政府はただベースアップするだけでなく、勤務年数や役職によって昇給・加算できる制度をつくりました。

それが処遇改善等加算Ⅰ処遇改善等加算Ⅱです。

平均勤務年数が増えるごとに給料が加算され、役職を増やしてキャリアアップしやすくすることで辞める人を減らし、囲い込みをする取り組みです。

このような囲い込みもあって、年々保育士の数が増加傾向にあるのです。

 

保育士の職場復帰支援

現在、保育士の資格は持っているけど、労働環境や低賃金、結婚、出産を理由に辞めたという人がたくさんいます。

特に30代〜50代の潜在保育士が多いようです。

労働環境や低賃金はともかく、なぜ結婚や出産で辞めたあと職場復帰しようとしないのでしょうか?

その大きな理由は条件に合う求人がないからです。

復職を考えている方の多くは、家庭との両立や健康面を気にしています。

 

そこで厚生労働省は潜在保育士のニーズに合わせるために、職場復帰のための研修を実施したり、就職準備金の貸付(最大40万円)や未就学児の保育料の半額を貸付(月2,7000円以内)、子ども預かり支援金の貸付(年123,000円以内)を行っています。

貸付というと借金が増える…と思うかもしれませんが、2年間保育士として就労することで返還は免除されます

他にも各自治体ごとで、再就職支援を行っているところもあります。

このように、小さいお子さんがいる家庭でも職場復帰しやすい環境を整えて、今後も続けられるように囲い込みをしているのです。

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勤務環境の改善

保育士は仕事量が多いといわれていますよね。

仕事量に対して賃金が低い!」という声をよく耳にします。

しかし近年、仕事の内容や業務量が見直されています。

例えば事務作業の簡略化です。

他の企業では書類整理は全てPC上で済ませているところがほとんどです。

最近では電子印鑑も作れるので、印鑑が必要な書類でも紙である必要はないのです。

しかし保育園の事務作業には未だにアナログな部分が多く、無駄な作業が多いといわれています。

そこで厚生労働省は、保育所でPCなどを使用することで書類作成業務の省力化を支援しています。

さらに1人ひとりの負担を軽減するための、保育補助者の雇用支援「保育補助者雇上支援事業」もあります。

保育補助者は資格なしでも雇用することができ、保育士の仕事のサポートを行います。

保育補助者雇上支援事業」は保育補助者の雇用にあたって給与や手当、福利厚生、社会保険の事業負担分などの経費を貸付してくれる支援です。

こちらは保育補助者が保育士資格を取得したり、貸付終了後1年以内にその見込がある場合は免除されます。

これによって、保育士を目指す意識の高い保育補助者を雇用しやすい環境になりました。

このような保育士の囲い込みのための取り込みによって、仕事の負担も軽減されるというわけです。

 

保育士を目指す方への制度

厚生労働省は待機児童問題の解決に向けて、保育士を目指す学生にも手厚い制度によって囲い込みを行っています。

例えば「保育士修学資金貸付事業」は、保育士を目指す学生に対して修学資金の一部を貸付する制度です。

  • 貸付期間・・・2年間
  • 修学資金・・・月5万円以内(総額120万円以内)
  • 入学準備金(任意)・・・20万円以内
  • 就職準備金(任意)・・・20万円以内
  • 生活費加算・・・修学資金に在学中の生活費の一部加算が可能(生活保護受給世帯もしくはそれに準ずる世帯のみ)

この制度は、学校を卒業したあと保育士として登録し、5年間実務従事することによって返還を免除することができます

自治体によって、返還免除するには地域内の指定の種別の施設で就職しなければならないなど細かい決まりごとがあるので注意してください。

また対象の学校などは自治体のHPなどに記載されているので、一度チェックしてみてくださいね。

このような制度で囲い込みをすることで、地域内の保育士を増やしている事が分かりますね。

 

囲い込みの政策には疑問視されている面もある

政府による囲い込みの政策に関しては、まだまだ不十分なところや疑問視されているところがあります。

ここまで保育士の囲い込みをしても待機児童問題が解決しておらず、保育士の不満も解消されていないからです。

保育士さんの中には、「本当にこれだけの政策が実行されてるの?」と思うくらい待遇改善を実感していないという方もいると思います。

ここでは、実際にどんなことが不十分といわれたり、疑問視されているのかについて詳しく解説していきます。

 

13%ベースアップしてもまだ給料が低い

2013年から本格的に待機児童問題の対策が始まり、保育士の給料はこれまでに約13%アップしました。

しかし、給料がたった13%アップしてもまだ充分ではないという声があります。

理由はいくつかありますが、その中でも特にハードな労働に対して正当な対価が支払われていないと感じる方が圧倒的に多いようです。

そのため、一気に数万円のアップを望む声がたくさんあります。

中には5万円アップしても足りないという声までありました。

これだけ囲い込みをしてもまだ不満の声があるので、いまだに離職率が高い職場でもあるのです。

保育士の不満をまとめて考察すると、もう少し働き方改革を進めてそれに応じて給料アップを検討した方がいいのかもしれませんね。

 

地域による保育士の給料の差が縮まらない

給料が約13%アップしている状況でもまだ賃金が低いといわれる理由は、労働環境が悪いだけではありません。

地域によって給料の差が大きいからです。

実は自治体の独自の取り組みによっては、国の処遇改善手当とは別に助成金を出しているところがあるのです。

そのため、助成金が出ていない地域に比べて給料が高い傾向にあります。

つまり、自治体がどれだけ保育士の待遇改善への取り組みや囲い込みをしているのかによって給料に差が出てしまうのです。

だから待機児童問題に意欲的でない地域だと16〜18万円と賃金が低いままなのです。

このような地域の差を減らすためにも、今まで通りに全体の水準を高めるのではなく低所得者層への対応が求められています。

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囲い込みによって転職はしやすくなった

保育士の囲い込みによって人材確保や給料の底上げが進んでいますが、実は保育士側には処遇改善以外にもメリットがあります。

ポイントは囲い込みの政策で、保育士が就職しやすい状況を作っているというところです。

さらに待機児童問題解決のために、新しい保育施設がたくさん設立されています。

これにより保育士の転職が成功しやすくなっているのです!

実際に2018年の保育士の有効求人倍率は最高で3.64倍

全職種の平均は約1.5倍なので、全職種と比べるととても高いことが分かりますよね。

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